(更新日、2011年9月1日) =沿岸地区からの修学旅行= 盛岡市の修学旅行ガイドブックに当工房が載ってたり、また盛岡市が指定している「小さな博物館」 (市内にある様々な分野の手作り工房を知って頂こうという趣旨です。)にもなっているので、私の ところなど、ほんと小さな工房なのですが、県内外からけっこう修学旅行生が見学にやって来ます。 修学旅行はたいていどこの学校も同じ時期に企画されるようで、けっこう見学の依頼がかさなったり するんですね、これが。 全部受け入れていると仕事時間にもくいこむので、おことわりすることもありますが、被災地域からの ご依頼は極力受け入れてます。 県北の洋野町からきてくれました、仙台からもきました、昨日は宮古市から3人の中学生がきました。 来てくれた生徒の中には、実際に被災した子もいるのですが、でもみんな元気です、明るいです。
=まいにちてんてこ舞いだけどうれしい!= ふるさと盛岡で工房を開設して以来、工房内にある楽器の数、製作途中のもの、修理、調整中 のもの含めて間違いなく今が一番多いです。もともと雑然としている工房ではあるのですが、 所狭しとヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスがごろごろしています。 製作途中の楽器は現在4つ。ヴァイオリンが2、ヴィオラが1、チェロが1。 でもなんと言っても一番多いのは・・・ 全国から善意でよせられたヴァイオリンたち。私のメンテナンスを待つ楽器が山のようにあります。 それと大船渡、仙台、多賀城、大槌などからも修理を待つ楽器たちがたくさん来ています。 お願い: 善意の楽器は、まだまだ必要ですが、お送りくださる前に御一報戴けるとたいへん助かります。 そんなわけですので、毎年恒例の東京での「弦楽器フェア」出品展示、今年はございません。
=再び= 先週初め、石巻赤十字病院の医師 I 氏が工房においでになりました。石巻赤十字病院は、 3月11日の震災時、石巻市内で唯一残った病院。 先週の土曜日のNHKスペシャル「巨大津波・医師の苦闘」にもそのようすが映されていて、 見た方もおられたと思います。 I 先生は、古いチェロを持参して来ました。想像するに本当に久しぶり丸一日の「休日」だ ったのではないでしょうか。I 先生とは初対面ではありません。実は数年前にやはりその 古いチェロを持っていらしているのですが、そのときには一度その修理依頼をおことわりし た経緯があります。 いま改めて考えると、随分と横柄で礼を欠いた言葉でおことわりしていたような気がします。 「このチェロを修理するより新しくチェロを作る方が楽なほど。そんなわけなので・・・」とか、 なんとか言って。 実際、そのチェロは表板の魂柱付近に大きな長い割れが3本、またバスバーに沿って陥没す るように割れが入り、横板、裏板の割れ大小含めて数十本の割れがあります。やるとなると簡 単な修復作業ではないこと、これは事実です。
I 医師は、もともとチェロを2台所有しています。一本は新作で健康そのもののチェロ、そしても う一台はその古いチェロ。(古いチェロの方は、あのままの状態でしたから現状ではまともに演 奏できる状態にはないのです。) 「野戦病院のような・・・」とI 医師が表現した病院。「悲喜交々」という言葉を使ってよいのかわか らないほどの生命の現場。私には計り知ることの出来ないほどの激務、緊張の連続だったので はと思うばかりです。 自宅に戻り、本当に久しぶりに「弾いてみようかな。」とふっとチェロを手にとった時のこと。 「なぜか普段は手にしない、弾きにくいとわかっているこっちのチェロに自然に手がいって・・・・ 気が付いたらこっちを弾いていた。」のだそうです。 そして「もう一度この楽器で楽しめることができたらいいな、との思うようになって」、このチェロを 再び生き返らせることが出来たらいいな、との思いで持って来られたとのこと。
新たに楽器を作ることも、“再び”をめざし楽器を修復することも、根本のところで同じスピリッツと 共にあるのだと、今更ながら気づかされました。
=楽器を作る= 新作の楽器製作にとりかかる時、まっさらな木材を目の前にすると、厳かな気持ちになります。 樹齢数百年の木です。伐採してから20年ほど経年した、自然乾燥したスプルースとメイプルを使わせて戴きます。 刀匠の「斎戒沐浴」とまではいかないまでも、やはり立派な木を眼前にすると自然に「作らせて戴きます。」と手を 合わせる気持ちになります。
「昔の仏師の生活はどんなものだったろうか・・・」という文があり、たいへん得心しました。 曰く、 「むかしの仏師は、心身極楽の中でくらして、重ねる衣もなく、最も高貴な食物のみを摂っていた。 高貴な食物とは、水の如く、粥の如く、松の葉の如く、春の若芽、秋の茸、海や川の水藻のごときものである。 最も高貴なしかも巨大な彫刻絵画をつくった代々の人々は、この清浄なくらしと、高貴な食物で生きていたのである。」
=ヴィターリのシャコンヌ「ヴィオラ版」= 先々週、仙台フィルのヴィオラ奏者の方が久しぶりに弓毛の張替えにいらっしゃいました。毛替えが出来上がる まで工房でお待ちになるということで、いろいろ話をしつつ作業をしていましたが、ふっと、工房内にぶらさがって いるヴィオラに目がいき「ちょっと弾いてもいいですか?」とのこと。 こちらは作業をしつつ無料で演奏を聴けるのですから願ってもないこと。 で、弾きだしたのが「ヴィターリのシャコンヌ、ヴィオラ編曲版」。レオナルド・デイヴィスという人の編曲なのだそ うですが、これがいいんです、実にスバラシイ!!! 思わず作業の手がさぼってしまい、毛替えの時間がいつもの倍かかってしまいました。
=音は愛・音は力= 3月11日の東日本大震災から2ヶ月余。 いまだ生活の基盤も整わない方々、今後のめども立たない方々、まだまだ大勢いらっしゃるというのが現実です。 物理的にも精神的これまで経験したことのないことばかり・・・。言えるのは本当の長期戦になるのだということ。 私のような仕事をするものにとって、「何ができるだろうか」という自分への問い、そしてその答え。 はたしてその「明解」を得ることは難しいでしょうが、肩肘張らず私なりの答えを日々手探りし続けていきます。
( 工房入り口の生垣、ドウダンツツジの新緑 ) そんな中、私の工房に沿岸の方から持ち込まれて来る楽器たちから、少しずつ「音楽」再興への芽生えを感じます。
子供用のヴァイオリンを失ってしまった方のために・・・ということで 「以前に子供達が弾いていて今はもう使用していない分数ヴァイオリンを・・・。」と持ち込まれる方がいます。 工房でのメンテナンスを経て、おけいこ再開を待ち望む子のもとへ渡っていきました。
家を流され、あきらめていたヴァイオリンをがれきの中から見つけ、再生出来ますかと持ち込まれた方もいます。 そこには細やかな心遣いの文面が沿えてありました、 「津波の泥には様々の化学物質が含まれています、ホコリを吸い込まないよう・・・」 「破傷風菌が胞子の形で生存していることもあるらしいので・・・」 十二分に注意を払って修復作業にあたらせて戴きます。
自分の愛用のチェロを流されてしまった方、だれかのピアノが流されていくのが遠くに見えたとも聞きました。 避難所暮らしから移ることが出来るようになり盛岡に物資の買出しに来たとのことで、工房にも立ち寄られました。 「知り合いで使わなくなってほうっておいたチェロがあるというので持ってきたんですけど、これ使えますか?」 ということで、チェロを置いて行かれました。 「こんどいつ来れるかわからないけど次ぎ盛岡に来る時までに直っているとうれしいです。」 直ったらもう一度チェロをはじめるぞ、とやる気まんまんでした。
ゆっくりと、でも確実に「音楽」の復興のきざしが見えてきます。
( タンポポがひょっこり顔を出していました。)
http://www.youtube.com/watch?v=t1YxV9tV0jw&feature=mfu_in_order&list=UL 上をクリックすると「もりおか啄木・賢治青春館」で演奏された賛美歌「主よ、御許に近づかん」がyoutubeにて聴けます。 (ヴァイオリンとチェロ、私の工房で製作した楽器です。)
=岩手は、東北は、必ず復興します= よく工房にいらっしゃる外科の若い医師で、沿岸・大船渡の病院勤務のY君がおります。 今回の震災後、メールを出したのですが、数日前にやっと返信がありました。 「やっとメールが使えるようになりました、私は無事です、毎日が戦場さながらですが頑張っています、 ヴァイオリンも無事です!」と。本当に安心したし、本当によかった。 ヴァイオリンの演奏もアマチュアの域をこえているY君、しばらくは触る時間すらないでしょうが頑張れ!!! ● 昨年秋から岩手日報社・大船渡支社勤務となったSさん、岩手県民オーケストラのコントラバス奏者でもあるSさんの 無事をしりました、よかった! シンフォニエッタ盛岡の団員、宮古市お住まいの方お二人、いずれもご無事とのこと、よかった! チェロも弾くFM岩手釜石支局のSさんの無事もわかりました、よかった! ● 宮古市市長の山本君は高校の同級生。彼の田老町の実家にはなんどか遊びにも行ったし、泊ったし・・・。 泊った部屋には今ではあまり見かけなくなった「蚊帳」が吊ってあって、開け放した窓からの風がここちよかった。 泊った翌日の朝食は、てんこ盛りの採りたて生ウニ。近くの海を散歩し、「三王岩」と呼ばれる絶景を観、潮風を満喫したこと、 いまでもありありと目に浮かびます。本当に美しい町だった。 その町が・・・ 高校の応援団員で旗を振っていた彼、真冬の盛岡市内にある“高松の池天然リンク”での母校のアイスホッケー部の試合に かけつけて、氷の上、裸足で試合中ずっと旗(通称M旗)を振り続けていた山本君。 いまは宮古市の応援団長となった山本君、ずっしりと重いものがあるだろうけど頑張ってくれ! 俺達同級生もそれぞれの立場で応援していくから!
=お見舞いとお励まし、まことにありがとうございます。= 3月11日の大震災につき、全国の皆様から安否をお気遣い下さる、メールやお電話、ファックスなど たくさん頂戴しております。 私も家族も、また私の工房も無事でありましたこと、あらためてここにご報告させていただきます。 楽器の損壊もほとんどありませんでした。 2002年、2005年と、コンサートキャラバンにてロストロポーヴィチさんと小澤征爾さんが長期にわたり 岩手に滞在されましたが、「キャラバンを支えてくださった皆様へ」ということで 岩手へのお見舞いのメッセージが小澤征爾さんからも届いております。
キャラバンを支えてくださった皆様へ 私たちキャラバンを2回にわたって、美しいみちのくに温かく迎え、 小澤征爾
=日本経済新聞に掲載されたので= 12月8日(水)日経新聞の夕刊7面「トラベルナビ」というコーナー、今回は盛岡を取材、ということでしたが わたしの工房も取材を受けまして、なんと工房で仕事をしている写真まで掲載していただきました。 全国紙に載ったのはたしか初めてですし、私の本年十大ニュースの一つとなりました。
=「木がよいと仕事も楽し、さっくさく!」= 私の工房にはヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ用の木材(メイプル、スプルース)あわせて数百本はあります。 修行時代の全くお金に余裕のないころでも、師匠の「木材だけは買い貯めておきなさい。」とのアドヴァイスに従い お金が少しでも貯まるとイタリア、ドイツ、カナダなどの木材を買い込んでいました。
(今回は横板に模様を彫って・・・) 生木(伐採したてで水分いっぱい)だとけっこう良い木目の材でも比較的安い、でも当然すぐには使用できない。 10年くらい経年した(いわゆる枯れたというか、乾燥している)木材とか、たまには20年ものとかあるわけですが、そのような 木材だと、木目はそこそこのものでも価格は安くても数万円、修行したての者には手がでるわけないのです。 そんなわけですから杢目はよいけど、すぐには使えない、でも安い、当時の私でも買える木材をどんどん買っており ました。
(黒檀埋め込んでこうなる!) その当時は言われるままに買っていたわけですが、今となっては、そうしておいて本当によかった! 私の修行時代は1979年から始まり、もうその年には材料を買い始めていますから、20〜30年自然乾燥した木材が た〜くさんあります、とびきりお気に入りの杢目のものも!!! で、何が言いたいかというと、やっぱりよくかれた美しい杢目の木は、削っていてもなんだか楽しい、カンナ仕事の音も サックサクと軽やか・・・ そして削り進むほど、いい響きの予感が生き生きとイメージされてくるのです(これほんとのこと)。 ※上記画像の裏板はお気に入りの材のひとつで40年もののメイプルでした。(11月完成)
=アルバン・ベルクは・・・です。= 一昨年、世界中のファンから惜しまれつつ遂に解散したウィーンのアルバン・ベルク弦楽四重奏団。 1st.Vn はギュンター・ピヒラー。2nd.Vn はゲアハルト・シュルツ。(ともにウィーン国立音大の教授でもある) そのシュルツ氏に師事するアンナ・クノップさんが盛岡にやって来ました。 ヨーロッパを中心にアメリカ・オーストラリアで活躍、いま注目の弦楽四重奏団「MINETTI(ミネッティ) QUARTETT」の メンバーでもあるアンナさん、今回はピアニストの長岡直子さん(アンナさんの母)とともに長岡さんのふるさと盛岡で のコンサート。 (※ ミネッティ弦楽四重奏団の演奏、You tube にありますし、CDはAmazonで購入できますよ。)
(これはリハーサル風景) 今回のプログラムは「モーツァルトの時代に活躍した女性作曲家たちの珠玉の作品」ということで・・・ ・ヨゼファ・アルンハンマー ・ファニー・メンデルスゾーン(フェリックス・メンデルスゾーンの姉) ・クララ・シューマン(ロベルト・シューマンの妻) ・フランチスカ・レブルン ・リリー・ブーランジェ(フォーレの愛弟子) ・マリア・テレージア・パラディス といったパラディスさん以外は普段あまり耳にしたことのない(私がですが)作曲家の作品による構成。 こちらが知らないだけで、素敵な曲というのは、ほんとにたくさんあるんだなあとつくづく実感させらた次第。 ● 演奏会の翌々日、アンサンブル金沢の原田智子さんとごいっしょし、アンナさん&長岡直子さんを訪ねた時のこと。 ギュンター・ピヒラー氏がアンサンブル金沢の定演(第291回定期:2010年11月19日、於:石川県立音楽堂)で 指揮をするということで、いろいろと話が弾んだのでしたが・・・。 「・・・で、ピヒラーさんって、ホントこわいんですよね!・・・」 「リハーサルのあと、1st.ヴァイオリンだけ部屋にかんづめにされて説教はじまったり・・・」 「ええ、わかる!わかる!」 「○○がシュルツ先生のレッスンを受けている最中に、シュルツ先生にたまたま用事があってピヒラーが入って来た んだけど、いきなり、音程が違うっ!!!とか、言って、ものすごいおこりはじめて、えんえんと怒ったあげく、用事を 話すの忘れて、レッスン室出て行っちゃたり・・・」 「・・・!・・・、ええ、わかる!わかる!」 「メトロノームつかんで、もう今にも投げつけそうになったり・・・」 「・・・」
=ワオ!、美しきヴァージナル!=2010年7月19日
7月9日(金)、もりおか啄木・賢治青春館にて、念願かない憧れの楽器“ヴァージナル”に会うことができました。 フェルメールの絵画でしか見たことのない楽器ヴァージナル。 絵を見て、ヴァージナルという楽器はどんな音色なんだろうとか、その時代、どんな人達が演奏したのだろう、とか それぞれにいろいろと想像している人も多いと思いますが、私にとっては、“この楽器を作った人は、どんな思いをこめて 装飾を描いていったのだろう”と、ついその楽器製作者の立場に思いをめぐらせます。
楽器が音を奏でるためのインストゥルメントであることはその通り。 ヴァージナルやチェンバロが“進化”して、フォルテピアノになり、ついには現代のピアノ(ピアノフォルテ)になったことも 理解できます。その過程で楽器に施される装飾は二次的なものとして追いやれれ、いわゆる「機能美」が大手をふるう わけですなあ。 機能をとことん追及するとそこに「美しい形」が残る、という意見もわかんないわけでもないですが、でも音楽ホールに したって、現代の最高の技術をもってして作られたどんなホールよりも、やはりウィーンの「ムジークフェライン・ホール」 の魅力は素晴らしいし、私はあのホールの装飾を華美に過ぎるとは思わない。 華美に過ぎる装飾と、そうでない装飾はある意味、紙一重、もろ刃の剣、と言えなくもないのかな、 その危うさは承知のうえでやっぱり何かやってみたくなる。 まあ、装飾を入れたがりのわたくし、楽器製作者としての思いすごしなんじゃないのということで、お聞き流しください。
ということで、次回作るバロックヴァイオリン横板の装飾の試作をちょっとだけアップ。(完成するのはまだ先ですが・・・) この彫り込んだ部分(0.2ミリ)に黒檀をペーストにして埋め込んでいくわけです。 でもその前に、いまはヴィオラとチェロを完成させるべく、日夜奮闘中の私です。
=弓の毛、張替えは神経つかいます= 弦楽器の職人であれば、たいていは弓の毛の張替えという仕事もやります。 さらには私の師匠である「弦楽器Ueki」の植木繁氏のように弓そのものにおいても素晴らしい作品を生み出す 製作者も稀におります。(ちなみに植木氏作による弓は、チェロの堤氏が長年愛用、N響のコンマス・山口さんは 楽器も弓も愛用されているし、息子さんでチェリストの植木昭雄さんほか、多くの演奏家が使用しています。) 私自身も毛の張替えはもちろん行います。 私は盛岡で工房を営んでいる職人なのですが先週は仙台フィルの方が弓毛張替えに持っていらっしゃったし、 定期的に東京から盛岡まで毛替えに来る方もいるんですね。 (盛岡で毛替えして、その帰り花巻温泉に一泊して帰京する、というパターンらしいです。) 北東北に演奏旅行で着たりする在京の奏者、N響の方、東京シティフィルの方など、弓の毛の張替えにお立ち寄り、 ということありますし、昨年暮れのように盛岡に来た名の知られたソリストが毛の張替えにくることもあったり。 で、そのような演奏家達の弓、たいてい100万円は下らない弓だったりするわけです。(というか、はるかに高価!) 楽器製作や楽器調整とはちょっと別の神経を使うことになり、肩が凝るというのとも違って、毛を張り終えたあとで 「すどーん」というか「どっと」くるものがあります。 私の工房では弓の毛張替え¥6500円で、一般的には「安くはない」という感じかもしれませんが、神経の使い様 からすると私的には「これで妥当な金額とさせてください。」というのが正直なところであります。
弓というのは構造がかなり繊細というか、ある意味きゃしゃに出来ています。(上の図はバロック・ボウですが) で、弓の毛を押さえている要所となる部分、3箇所にはクサビのような詰め木をはめ込むのですが、このところの仕事に そうとうな神経を使うのです。この仕事、もう20年以上もやっているし、すでに数千本以上は経験している仕事なのですが いまだにこの一本で結構神経使います。 まあ、こんなこと書くようでは弓に関して「「お前プロとは言えないね。」といわれてもしょうがないですが・・・。
=いわゆるオールド銘器の修理画像-4= 今回の修理は魂柱付近の修理のほか、細かい割れがあったので最終的に下のような感じになりました。 オールド名器だと、バスバーの交換は少し躊躇もするのですが、さまざまな状況を考慮し、何より、この 楽器にとってのベストの選択と考えて、バスバーも思い切って交換、ということになっております。
補強パーツは、表板本来の木目の方向より、少しだけ角度がついています。これは、魂柱の付近の補強をより強くするため。
=いわゆるオールド銘器の修理画像-3= 出来た柾目の補強パーツをニカワで接着。クランプをつかって固定します。 「柾目の補強パーツ」と反対側、表板表面の押さえられる部分(左の画像)は前もって表板の曲面の型を とっておきます。(正確な表板曲面の型をとるために歯科技工で使う素材を使っています。)
=いわゆるオールド銘器の修理画像-2= 魂柱付近の割れと虫食い部分の補修をした後、補修した辺りを中心にすり鉢状に彫り込みます。 そのすり鉢状に掘り込んだ部分にぴったりと合致するように柾目の補強パーツを作ります。
寸分たがわぬ様にするのがこの補強の最大のポイント。 これだけの作業にほぼ丸一日かけます。
=いわゆるオールド銘器の修理画像-1= 寺神戸さんのバロックヴァイオリンは、すでにモダン仕様に変えられていたものを、逆にもう一度バロック仕様に戻す という過程を経た楽器なのだそうです。そんなお話を伺ううちに、楽器の修理、仕様の変更についても改めていろいろ 考えさせれました。 ● 「つい最近、元ニューヨークフィルのコンサートマスターが使っていたという200年以上も前のヴァイオリンの修復作業を 終えたばかりでした。」ということを下の方に書いておりましたが、その時の「修理の証拠写真」を数枚撮ってあったこと 思い出しました。 普通はあまり見られない作業なのでこの機会に少しだけ載せます。
=寺神戸亮さんのBaroque Violin(1690年)=
先月の盛岡での演奏会翌日、公開レッスンも行われましたが、その合間の休憩時間に寺神戸亮氏ご使用のヴァイオリンを いろいろと詳細に見せていただくことが出来ました。 これまでもバロック仕様、クラシカル仕様の楽器を製作したことはありますし、かなりの数の参考資料、所有してはおりますが やはり著名な演奏家が現役でお使いになっている楽器を見せていただく事は何にも代え難い、たいへん貴重な機会です。
=演奏家の人って体力あります= 10日(月)、夏の音楽祭を終えたN響のヴァイオリニストH氏とチェリストN氏が工房にやってきました。 H氏、今回は1ヶ月ほど前に依頼を受けた特製「あご当て」が出来上がったので、それを受け取りにいらしたということ、 チェリストのN氏は工房にある完成間近のフルサイズ「五弦チェロ」を弾きたい、とのことでやって来られました。 それぞれやはり演奏家であるヴィオラ奏者とヴァイオリン奏者のパートナーを伴っていらしたのですが、お二人とも 東京・盛岡間の往復、自分の車で運転なんですね。 先週は東京ヴィバルディ合奏団の方もやはり東京から車運転していらっしゃったし。 随分前の話ですが、コントラバス奏者の黒木さん、盛岡でリサイタルを開いていただいた時、彼もやっぱり自分の車に コントラバス積んで東京から国道を飛ばしてやって来ましたっけ。 盛岡という地をほとんど出ることなく、日々仕事をする私など、たまあに東京など新幹線で行っただけでもぐったりというのに。
=寺神戸亮さんのモーツァルト= 寺神戸亮inもりおか啄木・賢治青春館 2009年7月8日、9日 寺神戸さんといえばバロックの名手として知られていますが、今回はモーツァルトのヴァイオリンソナタ3曲、そして ベートーヴェン「スプリングソナタ」。 どの演奏もこれまで抱いていたモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタとは異なる 演奏、というか、なんだか別の曲を聴いている感じすらしたほど。 ピアノがいわゆるモダンのそれではなく、「フォルテピアノ」(アントン・ヴァルターの複製)であったこともおおきな要因の ひとつでしょう。 とにかく、ヴァイオリンもピアノもその音ひとつひとつが明瞭この上ない。いままで誰のどの演奏でも聞こえてこなかった 魅力的な音、フレーズがいっぱい。 とりわけK.306(ヴァイオリンソナタ第30番ニ長調)などは、初めて「こんないい曲だったのか!」と。 誤解をおそれずに勝手なこと申せば、「モーツァルトのヴァイオリンとピアノのためのソナタ」というものは、 フォルテピアノとバロックヴァイオリン(orクラシカルヴァイオリン)の組み合わせでないと、ホントのこの曲の良さ、 しゃれた感じ、妙味は味わえないんじゃないかな・・・と感じたほどでした。 追記:フォルテピアノのキットを購入し、本気で作ってみたいと思うこのごろ。
=いわゆるオールド銘器の修理= つい最近、元ニューヨークフィルのコンサートマスターが使っていたという200年以上も前のヴァイオリンの修復作業を 終えたばかりでした。 新作を作るのとは違った神経の使い方をするし、自分の個性を出すことは避けなければならない仕事です。 新作の仕事とはある意味対極な作業の連続となるのでご依頼を受け入れる前は、実のところあまり気乗りがしかなった りするのですが、修復を終え楽器が復活すると、素直に「よかった!」とうれしい気持ちにもなります。 7〜8年前には、Gragnani(グラニャーニ)というやはり二百数十年前のオールド楽器の大修理をやったことがありましたし、 さらにその前にはGofriller(ゴフリラー)というオールドチェロの大修理にたずさわったこともありましたなあ。 修理という仕事は、まことに地味といえば地味な作業の連続。
“よい仕事”をしたということになります。 そして持ち主の元へと戻っていくわけ。
=そういえば・・・ネマニャ・ラドゥロヴィッチさんの弓!= 昨年師走に入った12月6日(土)の午後3時ころ。電話がはいり・・・ 「急で恐縮なんですが4時ころにそちらにいって一時間ほどで弓の毛の張替えやっていただけますでしょうか」とのこと。 私:「大丈夫ですが、お名前伺っていいですか?」 「ソリストの名前はラドゥロヴィッチといいます、昨晩の東京でのコンサートで半分くらい切ってしまったようで・・・」とのこと。 そして1時間後。実際に見た弓は、半分どころか、残っている毛の量は3分の1くらい! 急ぎで毛を張替え・・・出来上がると、そのまま盛岡のコンサート会場マリオス大ホールへ。 五つの国際コンクールを制覇したという「炎のヴァイオリニスト、ネマニャ・ラドゥロヴィッチ」23歳。 盛岡の演奏会でもバンバン切っていたようで・・・あれじゃ弓何本あっても足りないのでは・・・と本気で思った次第。
=演奏家の人って・・・!= 2010,2,6(Sat.) アンサンブル金沢+盛岡・バッハカンタータフェラインによる「ロ短調ミサ」堪能しました。 合唱の迫力、吸い込まれそうな荘厳な響き。そして時にはヴァイオリンのソロとソプラノのデュオがあったり フルートのソロにソプラノとテノールの二重奏があったりと・・・。 基督教的に通じていない人(私を含めて)でも純粋に音楽そのものを“楽しむ”ことが出来るこの作品の構成、 (マタイ、ヨハネの受難曲とともに)J.S.バッハにはまことに恐れ入ります。 この作品はホルンの独奏+コントラバスソロにバスの独唱アリアという場面もあるのですが ホルン奏者のコンスタンチン・ティモキンという方(演奏も良かったのですが)自分の演奏が終わったあとステージの端っこ 自分の椅子にすわりバスの独唱に合わせ口パクで歌っていたんです(時たま身振り手振りも入ってました)。 さらにその後の曲、ほかの合唱部分でもず〜っと一緒に歌っていたので、さらにびっくりさせられました。 演奏会の翌々日、アンサンブル金沢Vn奏者の原田智子さんが工房に来たのですがそのことを話すと 「へぇーっ」と言いつつも「彼ならそれもあり得るわねぇ、とっても変わった人だから(いや、もちろん良い意味で、です)、 んでもって、音楽以外の行動はさらにもっとすごいです、うんとっても変わっている。」と。 通常はスイス・ローザンヌのオケに所属しているのだそうですが、ホルンのソロなどがある曲などで、日本を含め、 国外あちこちからお呼びがかかる奏者なのだそうです。 「アンサンブル金沢の人って面白い人、変わった人多いの、だいたい指揮者の井上さんにしてもそうだし。」と笑って おりましたが、確かに演奏家の人って面白い人多いです。そして原田さん、彼女も十二分に面白いお方です。
=2010年、「ロ短調ミサ」が本年の聴き初め= 2010,1,27 昨年末にもちょっと書きましたが今年も楽しみな演奏会、そして私の関わる演奏会等々いろいろとあります。 で、まずは今年初めて足を運ぶ演奏会は何か・・・というと、バッハのロ短調ミサ曲。 1月31日(日)、午後3時開演。会場は盛岡市民文化ホール(マリオス大ホール) 指揮は巨匠、ヘルムート・リリング。 合唱は盛岡が世界に誇るといっても過言ではない「盛岡バッハ・カンタータ・フェライン」 管弦楽「オーケストラ・アンサンブル金沢」 を聴きに行く予定。 「盛岡バッハ・カンタータ・フェライン」の合唱指揮者は佐々木正利氏。 ● 合唱に少しでも関わりのある盛岡市民であればその名を知らない人はいないという佐々木正利先生。 (その若き日、ウィーン楽友協会ホールでのマタイ受難曲では「若き日のペーター・シュライヤー」と新聞各紙に 絶賛されていますし、1985年にはあのザルツブルグ音楽祭に招聘されている。)
実は彼の若き日の演奏を私は偶然にも東京で聴いているんです! 私が東京の田園調布にある工房「絃楽器Ueki」で修行をはじめて間もない頃。 もちろんクラッシック音楽は好きでしたが宗教音楽にはまだ興味のなかったころ。工房は日曜で休みの日。 目白の「東京カテドラル」にて小澤征爾の指揮で「マタイ受難曲」というプログラムがあるという。 「マタイ受難・・・、ちょっとカタッ苦シそうだけど、きょうは行くとこないし、小澤征爾をいちど生で見てみるのもいいかな、 おーっ、それに会場は東京カテドラルだしな!」という感じで出かけたのでした。 (大学で建築を学んでいた私、実は丹下健三の「東京カテドラル」をじかに見てみることの方に興味があった) そして初めて聴いた宗教音楽「バッハのマタイ受難曲」、 その時のエバンゲリスト(福音史家)が若き日の佐々木正利氏 だったのです。 その時の情景、感動、いまでもありありと思い出されますし、バッハの荘厳さを心底知ることとなった日でした。
※ 余談ですがその佐々木正利氏、私の出身高校の先輩でもあることは、かなり後に知ったことでした。 もうひとつついでに、 今回のアンサンブル金沢1stVnフォアシュピーラーも私と同じ出身高校(私よりずっと、ず〜っと後輩にあたる女性)。
=2009年いろいろとうれしいこと= 当工房で作られたヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、あるいは当工房を巣立っていった楽器達による演奏会、 ソロに室内楽、オーケストラ、今年もあちこちでありました。 全部の演奏会に足を運ぶことは出来ませんが、でも盛岡に近いところでの演奏会には極力出かけます。
モーツァルトのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロによる三重奏。そしてカルテットによるドヴォルザーク「アメリカ」 素敵な演奏家にめぐり合えた楽器達の幸せを感じました。 5月には、通称「10チルドレンコンサート」というスズキメソードの国内演奏ツアー。 全国から選ばれた10人の子供達。才能教育を代表する子供達による演奏会、国内ツアーが大分、福岡、 名古屋、神戸の4都市であったそうですがその中の1人、私の製作した3/4のヴァイオリンを使用してのツアー。 「才能教育の会長さんにも楽器の良さを褒められました。」とのうれしい報告が届きました。 8月には、第21回目というヴァイオリンコンクールのこと。 京都での「こどものためのヴァイオリンコンクール」で、当工房から巣立っていった3/4のヴァイオリンを 奏でるAさん、今年のコンクールで、見事金賞を受賞されたとのご報告。 良い演奏者にめぐり合えて、楽器も応えることが出来たのだと思います。 11月。恒例となったの東京九段下「弦楽器フェア」会場である科学技術館内サイエンスホールでの演奏会。 今年のヴァイオリニストは東フィル・コンサートマスターの三浦章広氏。 そしてチェリストは、私が弦楽器の製作・調整のうえで6年間、田園調布でお世話になった師匠、植木繁氏の ご子息でもある、植木昭雄氏。 三浦氏はバッハの無伴奏パルティータを、植木昭雄氏はラフマニノフのチェロソナタと、フォーレのエレジーを演奏。 どれも私にとってかけがえのない、2009年、嬉しい一期一会でありました。
=たいへんご無沙汰しておりました。=2009年1月 昨年11月アメリカでの国際コンペティション&コンベンションの参加。帰国後は、たまってしまった仕事をやり遂げるのに 精一杯で、そしてあわただしいままに年越し。 例年にも増して時間に追われるような10月、11月、12月を過ごした反動?でしょう、あっという間に1月が過ぎ去り・・・。 気がつくと2月、光陰矢の如し。 「国際コンペティション」では、結果、入賞はかないませんでしたが、文字通り様々なことを学び、また様々な出会いに恵まれました。 ヴァイオリンだけでおよそ200本、ヴィオラ、チェロがそれぞれ100本ほど。更にこのコンペティションはカルテットの参加もみとめられて おり、全ての楽器が公開された会場は壮観でした。
=ポートランド郊外のワシントンパーク= ご注文を頂戴しておりながら納期がおそくなっている皆様、 月並みな言葉ですが今回の「国際コンペティション&コンベンション」から得たものを今後の楽器製作に生かしていくことで御容赦下さ いますように。
=11月、弦楽器製作のコンベンション&コンペティション in USA= 2008年11月3日(Mon)〜9日(Sun)、アメリカ西海岸のポートランドで全米弦楽器製作者協会主催による弦楽器製作の国際コンペテ ィションと同時にコンベンションが開催されます。国際コンペは2年に一度。これまで日本からは陳昌鉉氏、無量塔蔵六氏、松田鉄雄氏 など、また近年では2000年に弓部門で笹野光昭氏がゴールドメダルを獲得しています。 前回2006年のヴァイオリン部門ゴールドメダル受賞者はMing-Jiang Zhu 氏。個人的に私も好きなイタリアの製作者Silvio Levaggi さんがヴィオラ、チェロ部門の優秀賞(Certificate of Merit for Workmanship)を受けています。 今回、はじめて私も出品参加しようと思っています。一週間、毎日のように弦楽器全般および製作に関してのイヴェント、 レクチャー、コンサートなどがあるようですし、楽しんでこようと思っています。 ● というわけで・・・ この時期恒例、東京での「弦楽器フェア」の参加は見合わせることになりそうです。
=アンサンブル金沢の原田智子さん= 日本を代表する室内オーケストラ「オーケストラ・アンサンブル金沢」のヴァイオリニスト原田智子さんがひょっこりと工房に やってきました。なんでも「文芸春秋」の撮影があって、久しぶりの来盛。 金沢ではオーケストラのほかにもソロやデュオなど素敵なコンサートを開催しているようで。ギタリスト高田元太郎さんとの デュオ演奏したときの話、「ギターの素晴らしさに目覚めた!」とのことでした。 「盛岡でもやってくださいよ。」とリクエストしたところ、「ぜひに!」ということでしたので・・・実現されるかもしれません。
=コンサート行ってきました= ●2008年4月6日(日) 東京・国立科学博物館・日本館講堂 14:00開演 13:15開場 「東京のオペラの森2008 NOMORIイベント・ウィーク ミュージアム・コンサート」
寺神戸亮さんによる演奏とお話。さまざまな時代のヴァイオリン、弓を使い分け、またそれぞれに合った演奏法で 17世紀初期イタリアの作品から、バッハ、モーツァルトまで。弓や演奏法によって音や音楽が変化していく・・・ モダンヴァイオリンのほか、クラシカル・ヴァイオリン、バロック・ヴァイオリン・・・制作にとっても、貴重なヒントを得られる機会でした。
・ノターリ:カンツォン ・マリーニ:2本の弦で弾くソナタ ・カステッロ:ソナタニ長調 ・コレッリ:フォリア ・ビーバー:ソナタト短調「十字架上のイエス」 ・ルクレール:ソナタト長調より1・2楽章 ・ヘンデル:ソナタニ長調 ・JSバッハ:ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第4番ハ短調 ・モーツァルト:ソナタト長調 K,301
=植木昭雄さんのラフマニノフ= チェリスト植木昭雄さん(2002年斎藤秀雄メモリアル基金賞受賞)の待望のファーストアルバム。 プロデュース&ヴァイオリン:NAOTO ピアノ:山田武彦 アレンジ:啼鵬 ひとりのアーティストの演奏によって「この曲、こんないい曲だったんだ!」とか、「こんないい曲があったんだ!」 と感じること、ありますよね。 数年前に聴いたペレーニのコンサートでのマックス・レーガーの無伴奏チェロ組曲。それまで正直なところ、 「レーガーの無伴奏、わけわからん、なんでこんな曲弾く人いるんだろう・・・」と、 ほとんど興味もわかない対象の曲として私の中にあったのですが。 その日、ペレーニの演奏を耳にし、 「こんな素晴らしい曲だったのか!こんな美しいハーモニーだったのか!」と。 植木昭雄さんがリリースしたラフマニノフのチェロソナタを聴いてそんなことを思い出しました。 「ラフマニノフのチェロソナタ、こんないい曲、あったんだ!」
=ガットのE線= N響の林さんが来房、弓の馬毛を張替えしたのですが、その時たまたまケース内のバロック・ボウが目に入りました。 私:「バロック・ボウ、持っているんですね。」 林さん:「ぼくバッハを弾くときは、いつもバロック・ボウを使うんですよ。」 と言いながら、楽器とバロック・ボウをケースから取り出し「ちょっと、弾いてみますか?」と。 受け取ったヴァイオリンを見て、もう一度びっくり! E線にはなんとプレーンのガット弦が張ってあります。(ちなみにA.D.Gは、ピラストロ・オリーブ弦) 「オーケストラで弾くとき以外は、たいていE線もガット弦を張る」そうです。 モダン仕様のヴァイオリンにガットのE線を張るという発想、考えもしませんでした。 倍音がさらにさらに良く響くよう・・・ 林さん:「いちどこの響きに慣れると、やめられません、440でも442でもまったく大丈夫ですよ。」とのこと。 試してみる価値、十分あり。
=寺神戸亮さんのHPを訪れてみると・・・= 寺神戸亮さんのオフィシャルHP http://www.lesboreades.info/RyoTerakado/ の 「スタッフ記」ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ公演のページに盛岡での様子(2月10日公演)が掲載されております。 前日東京の「HAKUJUホール」ではスパッラのみの公演、盛岡公演ではスパッラとヴァイオリンの二本立て。 「きょうはヴァイオリンも弾くので指の感覚をリハビリしないと・・・」とおっしゃりながら私の工房で1時間半ほど なんと休憩もなしにバッハの無伴奏を弾き続けておられました。(トピック・コーナー) ○ コンサートを終えた翌日、新幹線乗車前に手打ちそば屋「かしわや」さん(盛岡人はみんな知っている美味しい処)へ。 しばし考えた後、「僕は、もりそばとかけそばにします。」とは、寺神戸さんはおそばに関しても「通」でした! 衒いなきヴィオロンの響き。 ロマネスクの 神の扉を 開くがごとく。 会場はロマネスク様式の重厚な外観をほこる「もりおか啄木・賢治青春館」(旧九十銀行) ( てらいなき ヴィオロンのひびき ロマネスクの かみのとびらを ひらくがごとく )
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